- 200万円もらえるって聞いたけど本当?
- 現地での生活費や住居費はどうするの?
- 自腹を切ることはある?
このような疑問に対して、この記事では青年海外協力隊員がもらえるお金について解説していきます。
結論として、
- 日本の銀行口座に約200万円
- 海外手当(生活費・住居費)として約200万円
合計約400万円支給されます。
そのため青年海外協力隊に参加して現地生活をするために、自分の貯金を崩すことはありません。
- 支給されるお金の内訳・金額・タイミング等
- 私が実際に使った現地生活費
- 派遣中に考えておくべき出費
それでは詳しく解説していきます。
- 元青年海外協力隊員
- ヨルダンの支援学校とリハビリ施設に配属
- 子ども専門の理学療法士
- 30代女性
青年海外協力隊は日本の銀行口座に約200万円支給される
青年海外協力隊に2年間参加すると、自分の銀行口座に約200万円支給されます。
お金の主な内訳は以下の3つです。
- 国内手当
- 支度料
- 移転料
ちなみに青年海外協力隊の支給額は職種による差はありません。
例えば「国家資格が必要な職種だから支給額が増額する」という事は無いです。
手当が受け取れる対象者であれば、どの職種も支給額は同じです。
それでは、お金についてそれぞれ詳しく解説していきます。
①国内手当
国内手当は2年間で最高188万円振り込まれます。
国内手当の内訳は以下の2種類です。
本邦支出対応手当 | 40,000円/月×訓練期間 55,000円/月×派遣期間 |
---|---|
協力活動完了金 | 20,000円/月×派遣期間 |
国内手当が支給される対象者やタイミング、銀行口座は以下の通りです。
- 無職または退職して参加する人
- 現職参加(会社に籍を残している状態)で無給の人
本邦支出対応手当
派遣前訓練期間分 | 訓練終了日 |
---|---|
派遣期間分 | 派遣開始の翌月以降毎月20日 |
協力活動完了金
…帰国後に一括で支払われる。
二次選考時に登録した自分の国内口座
実際に青年海外協力隊に2年間参加すると、総額はどのくらいになるのでしょうか。
シミュレーションしてみます。
退職参加で2カ月間訓練を受け、
2年間現地で活動する場合。
合計額 | ||
本邦支出対応手当 | 40,000円×2か月 55,000円×24か月 | 80,000円 1,320,000円 |
協力活動完了金 | 20,000円×24か月 | 480,000円 |
総額 1,880,000円 |
帰国後に口座に188万円もあれば、就職活動や引っ越しも心配ありません。
ただし国民年金やスマホの維持費など、考えておくべき出費もあります。
詳細は後ほど紹介します。(先に読む場合はここをタップしてください。)
②支度料
9万円支給されます。
支度料とは、赴任に向けて現地生活や活動で必要なものを準備するために支給される手当です。
支度料が支給される対象者やタイミング、銀行口座は以下の通りです。
すべての青年海外協力隊員
派遣前訓練終了後
二次選考時に登録した自分の国内口座
現地生活で必要不可欠なパソコンやバックパック購入などに充てられるのでありがたいです。
③移転料
10万円前後支給されます。
移転料とは、生活に必要なものを日本から派遣国宛てに国際航空郵便や船便で送るための手当です。
移転料は派遣国によって支給額が異なります。
なぜなら日本から派遣国までの距離が協力隊員によって違うからです。
【地域別】移転料の目安
- アジア・大洋州…9万円前後
- 中南米・中東・アフリカ・欧州…11万円前後
移転料が支給される対象者やタイミング、銀行口座は以下の通りです。
すべての青年海外協力隊員
- 派遣前訓練終了後
- 任期完了の帰国前
…二次選考時に登録した自分の国内口座
…在外事務所から支給
国内口座に振り込まれる総額はなんと約200万円!
航空券や日本国内の移動費・宿泊費も支給される
青年海外協力隊は派遣国への航空券や日本国内の移動費・宿泊費も支給されます。
例えば以下のような費用です。
- 自宅と訓練所の往復の移動費・宿泊費
- 自宅と成田・羽田空港の往復の移動費・宿泊費
- 成田・羽田空港と派遣国の往復航空券 など
青年海外協力隊に参加するために自腹を切ることはほぼありません。
あるとしたら飛行機に乗る時に手荷物が重量オーバーし、超過料金を払うくらいです。
(そのほか自腹を切る例は後ほど紹介します。)
派遣国への航空券はJICAが手配し、座席はエコノミークラスです。
個人で座席のアップグレードはできません。
派遣期間中は海外手当が支給される
派遣期間中の食事や日用品、住居費など、生活に関わるものに対する海外手当があります。
物価の影響により、支給額は派遣国によって異なります。
海外手当は大きく分けて2種類あります。
- 現地生活費
- 住居費
私が協力隊としてヨルダンで生活していた時の実体験も踏まえて、詳しく解説していきます。
①現地生活費
現地生活費とは、食事、日用品、光熱費、通信費、交通費など生活に関わるものすべてに対する手当です。
派遣国によって支給額が違いますが、1カ月約300ドル~700ドル支給されます。
各国の詳しい支給額は、派遣前訓練中に知ることができます。
すべての青年海外協力隊員
四半期ごと(4月、7月、10月、12月)に3か月分が支給される。
現地で開設した銀行口座
海外手当の銀行口座は派遣国到着後に現地の銀行で口座を開設し、在外事務所に申請します。
派遣期間中に国の物価に変化があれば支給額も変化します。
私の派遣先、中東ヨルダンの場合…
派遣当初、現地生活費は1カ月あたり600ドル支給されていました。
しかし物価上昇により、派遣2年目から1カ月あたり650ドルに増額しました。
- 600ドル×12カ月=7,200ドル
- 650ドル×12カ月=7,800ドル
2年間の合計は15,000ドル
日本円で約1,650,000円。
※2017年当時の1ドル110円として計算
2024年現在は世界的な物価高騰の影響もあり、全体的に支給額が上昇していることが考えられます。
支給額は派遣国の公務員の給料が目安になっているとか…。
②住居費
住居費とは、現地でアパートを借りたときの賃料に充てられます。
派遣国と住む地域によって上限がありますが、家賃は基本的に全額支給されます。
すべての青年海外協力隊員
派遣国により異なる
現地で開設した銀行口座
家賃の支払い方法については、各在外事務所からの指示があります。
私が住んでいたヨルダンの地方都市の場合…
住居費は1カ月350ドルでした。
350ドル×24か月=8400ドル
日本円で約924,000円。
※2017年当時の1ドル110円として計算
私がヨルダンで生活していた時は、3カ月ごとに3か月分が現地の銀行口座にドルで振り込まれていました。
家賃は私が大家さんへ現金で直接渡していました。
住居は安全面や機能面を考え、現地のJICAスタッフや調整員と相談して決ます。
派遣国の生活は海外手当だけで足りる?
結論、足ります。
なぜなら食費や交通費、通信費などは支給される現地生活費内で収まるからです。
念のため自分で用意した米ドルを日本から持っていきましたが、一度も生活費として使いませんでした。
2017年当時のヨルダンの物価(現地生活費は1カ月71,500円支給)
- 水500ml 約45円
- ビール300ml 約510円
- お米2キロ 約510円
- バス 約100円
- ポケットWiFi(通信費) 1カ月80ギガ 約3400円
ヨルダンはイスラム教の国なのでアルコール類は日本に比べて高いです。
しかし嗜好品を買いまくったり外食や服などに散財しなければ、支給される現地生活費で十分やりくりできます。
私は派遣された地域がヨルダンの地方だったので娯楽も少なく、大きな出費といえば通信費を払うくらいでした。
自炊をしていたため、食費は1カ月1万円も使っていないです。
電気・水道代は大家さんと交渉して定額にしてもらっていました。
ガス代を含めても光熱費は1カ月約3,000円でした。
贅沢をしない限り生活費はかなり安く済みます。
そのため帰国前には4000ドル以上現地の銀行口座に残りました。
使わなかった現地生活費はすべて引き出して持って帰れます。
支給されるお金は「給料」ではない
青年海外協力隊はボランティアのため無償です。
派遣国の活動先からお金をもらうことはありません。
そのため青年海外協力隊員が受け取るお金は「給料」や「報酬」という位置づけではなく、
あくまで手当です。
青年海外協力隊員が
- 心身健康に活動ができるように
- 帰国後も社会復帰ができるように
支給されるお金です。
協力隊の派遣期間中、生活で自腹を切るのはどんな時?
派遣期間中の生活で唯一自腹を切ることがあります。
それは旅行です。
2年間、現地で生活していると本当にストレスが溜まります。
そのためリフレッシュとしてJICAでは「私事目的任国外旅行制度」というものがあります。
私事目的任国外旅行制度とは派遣国以外に旅行できる制度です。
もちろん派遣国内の旅行もできます。
旅行は自費なので、数万~十数万円の出費になります。
もちろん、旅行に行く・行かないは個人の自由です。
言葉、生活習慣、価値観などすべて違うからストレス対策は本当に大事!
派遣期間中、考えておくべき出費2つ
派遣期間中、考えておくべき出費は以下の2つです。
- 国民年金保険料
- スマートフォン(携帯番号)の維持費
それぞれ詳しく解説していきます。
国民年金保険料
国民年金に加入している人で、派遣期間中も支払いを継続する人は出費があります。
令和5年度では1カ月あたり16,520円です。
2年間で合計約40万円支払う事になります。
派遣期間中は海外在住になるので、国民年金は任意加入となり支払わない選択もできます。
しかし将来受け取れる年金額が減額したり、派遣中の事故による後遺症についての障害基礎年金が受け取れなくなるリスクがあります。
私は派遣期間中も国民年金の加入を継続しました。
スマートフォン(携帯番号)の維持費
現在日本で契約しているスマートフォンについて、
- そのまま契約を維持するのか
- 契約を解除するのか
- 格安SIMに乗り換えるのか
など、2年間の維持費を考えておいた方が良いです。
契約を維持すると数万円の出費になり、契約を解除すると携帯番号が使えなくなります。
そのため個人的には格安SIMへの乗り換えがおすすめです。
格安SIMなら年間の維持費が安く、海外でのSMS認証もできます。
おすすめの格安SIMについては以下の記事をご覧ください。
まとめ:青年海外協力隊は2年間で400万円近く支給される
派遣国によって支給額は異なりますが、2年間で1人当たり400万円以上の手当が支給されています。
- 国内口座に振り込まれる国内手当の総額は約200万円。
- 現地の口座に振り込まれる海外手当の総額は200万円以上。(派遣国により異なる。)
- 派遣期間中の生活は手当ですべてやりくりできる。