協力隊って自分の派遣された国以外にも旅行できるの?
このような疑問に向けて、この記事では青年海外協力隊の「私事目的任国外旅行制度」について紹介します。
私事目的任国外旅行制度(以下:任国外旅行)とは、ストレスの多い協力隊員のリフレッシュ目的として派遣国以外の国に旅行ができるJICAの制度です。
この記事の結論は以下の通りです。
- 年間最高20日間任国外旅行が可能
- 航空券やビザは全て自分で手配・支払い
- 派遣国到着後90日が経過すると旅行可能
- 旅行は原則半年に1回
- 旅行で行ける国は世界中
- 日本への一時帰国も可能
任国外旅行では日本から遠くて行きにくい国もあるので、ぜひ世界を旅してリフレッシュしましょう。
それでは詳しく解説していきます。
- 元青年海外協力隊員
- 中東ヨルダンで2年間生活
- 子ども専門の理学療法士
青年海外協力隊・任国外旅行の制度で海外旅行ができる
青年海外協力隊員は、自分が派遣された国から違う国へ旅行をすることができます。
これは「私事目的任国外旅行」といい、
リフレッシュや生活用品の買い出しなど、自分の目的のために旅行ができる制度です。
1年間にとれる旅行の日数は、最高20日間。
日本でいう、有給休暇みたいなものに近いです。
しかし1年目の休暇日数が残っていても、2年目への繰り越しはありません。
そのため休暇はとった方がお得ですね。
任国外旅行はすべて自分で手配・支払い
任国外旅行に行く場合は、旅行に必要なことはすべて自分で手配します。
旅費も全額自分で支払います。
- 航空券の手配
- ホテル
- ビザの申請
- 滞在中のバス・タクシーなどの旅費
- 旅行届をJICAへ提出
ちなみに青年海外協力隊として活動していく上で、自腹を切るのは任国外旅行くらいです。
派遣国での生活費や住居費はすべてJICAから支給されます。
詳しくは下の記事をご覧ください。
任国外旅行ができる条件5つ
任国外旅行ができる条件は以下の5つです。
- 配属先から休暇の許可があること。
- 活動を休んでも問題がないこと。
- 旅行先や経由地で、安全・外交に問題がないこと。
- 協力隊員が任国に到着した翌日から90日間経過していること。
- 旅行の目的地がJICAが指定した国であること。
派遣されたばかりの協力隊員は任国(派遣国)に到着してから90日過ぎないと任国外旅行ができません。
任国外旅行は原則半年に1回
任国外旅行の旅行回数は原則半年に1回です。
これは前回の旅行から半年以上期間が空いていないと次の旅行はできないという事です。
例えば、協力隊として1月に派遣国に到着したとします。
90日後に任国外旅行の許可が下りるので、最短で旅行ができるのは4月です。
もし4月に旅行に行ったとして、次に旅行の許可が下りるのは半年空けた11月です。
2年間で最大限に任国外旅行する場合
1月~3月(90日間) | 派遣国滞在 |
---|---|
4月 | 任国外旅行可能 |
5月~10月(半年間) | 派遣国滞在 |
11月 | 再び任国外旅行可能 |
12月~5月(半年間) | 派遣国滞在 |
6月 | 再び任国外旅行可能 |
7月~12月 | 派遣国滞在 |
旅行する日付も考慮すると2年間で最高3~4回任国外旅行ができる計算になります。
派遣国内の旅行は90日間の縛りや旅行回数に制限はありません。
国内旅行もたくさんしましょう!
任国外旅行で行ける国は決まっている
青年海外協力隊員が任国外旅行で行ける国は決められています。
協力隊員が渡航可能な国は以下の通りです。(2023年8月現在)
アイスランド・アイルランド・アメリカ・イギリス・イスラエル・イタリア・エストニア・オーストラリア・オーストリア・オーストリア・オランダ・カナダ・韓国・ギリシャ・コスタリカ・コロンビア・スイス・スウェーデン・スペイン・スロバキア・スロベニア・チェコ・チリ・デンマーク・ドイツ・トルコ・日本・ニュージーランド・ノルウェー・ハンガリー・フィンランド・フランス・ベルギー・ポーランド・ポルトガル・メキシコ・ラトビア・リトアニア・ルクセンブルク
(38ヵ国)
※イスラエルは渡航不可
アラブ首長国連邦・カザフスタン・カタール・クロアチア・シンガポール・中国(香港・マカオを含む)・ブルネイ・モーリシャス・ロシア
(9カ国)
協力隊派遣国(C)
インド・インドネシア・ウズベキスタン・カンボジア・キリバス・キルギス・サモア・ジョージア・スリランカ・ソロモン・タイ・タジキスタン・トンガ・ネパール・バヌアツ・パプアニューギニア・パラオ・東ティモール・フィジー・フィリピン・ブータン・ベトナム・マーシャル・マレーシア・ミクロネシア・モルディブ・モンゴル・ラオス
(28か国)
協力隊派遣国(D)
アルゼンチン・ウルグアイ・エクアドル・エルサルバドル・キューバ・グアテマラ・コスタリカ・コロンビア・ジャマイカ・セントルシア・チリ・ドミニカ共和国・ニカラグア・パナマ・パラグアイ・ブラジル・ベリーズ・ペルー・ボリビア・ホンジュラス・メキシコ
(21カ国)
協力隊派遣国(E)
ウガンダ・エジプト・エチオピア・ガーナ・ガボン・カメルーン・ケニア・ザンビア・ジブチ・ジンバブエ・セネガル・セルビア・タンザニア・チュニジア・ナミビア・ベナン・ボツワナ・マダガスカル・マラウイ・南アフリカ共和国・モザンビーク・モロッコ・ヨルダン・ルワンダ
(24か国)
各地域の青年海外協力隊員は、
(A)の国+(B)の国+(C~E)の国
という組み合わせの国の中から選べます。
例えば、
(A)の国+(B)の国+(C)の国
全部で75ヵ国の中から選べる。
(A)の国+(B)の国+(D)の国
全部で68ヵ国の中から選べる。
(A)の国+(B)の国+(E)の国
全部で71ヵ国の中から選べる。
任国外旅行では世界中の国々に行く事ができます。
ただし安全性の問題や時期により、渡航禁止になる国もあります。
日本からは遠くて行けない国もあるので、ぜひ任国外旅行でいろんな国へ旅をしてみてください。
任国外旅行はクレジットカードが必須アイテムです。
おすすめは年会費無料のエポスカード。
世界中で使えて、海外でお得に使えます。
日本への一時帰国は任国外旅行として可能
任国外旅行として日本へ一時帰国することもできます。
2年間、日本を離れているといろんな変化があります。
- 親族や友人の結婚式
- 家族の危篤
- 大切な人や自分が精神的に辛いとき など
任期中はなにかと一時帰国したくなることがあるでしょう。
親族や大切な人にもしもの事があった場合はどうするか、一度考えておいても良いかもしれません。
気分転換のために任国外旅行は行った方がいい
ボランティア活動や現地の人との関係を上手く保つためにも、任国外旅行することを私はオススメします。
なぜなら青年海外協力隊として、環境も文化も違う外国で活動することは、
派遣前には想像できないくらい、凄まじいストレスだからです。
ストレスが溜まってくると、普段は気にならなかったことにイライラしたり、
ついつい現地の人に強くあたってしまったり…。
そうなるとお互い辛いですよね。
任国から出ずに、2年間現地で踏ん張り続けるのもアリです。
しかし任国から離れることで、冷静になり気づくことも多いので、
気持ちに余裕をもって、さらに良い活動に取り組めるようになります。
以下は任国外旅行に行くメリットです。
- 解放感を味わえる
- 日本食が食べられる
- 任国の良さが分かる
解放感を味わえる
とにかく解放感!
これに尽きます。
なぜなら「旅行」という軽い気持ちで過ごせるからです。
旅行で行く海外と、協力隊で行く海外は全然違います。
協力隊で行く海外は、以下のような緊張感があります。
- 活動しなければいけない責任感
- 脳みそをフル回転させて喋る現地語
- 人種の違いで常に感じる現地人の視線
- 周りに危険がないか常に警戒
青年海外協力隊の2年間はずっとこれらの繰り返しです。
時には現地の人から嫌がらせを受けることも…。
海外で生活していると嫌な事があったり、嬉しい事があったり、1日の感情がジェットコースター並みに上下します。
自宅から一歩外に出ると、環境や文化もすべて日本とは違うのでストレスです。
日本の生活に例えると、寝ているとき以外、仕事のことをずっと考えているような状態です。
精神的にも辛くなっていた任期中、任国外旅行をしたら以下のような解放感がありました。
- 何もしなくていい。
- 最低限の会話でOKだから外国語を話そうと意識しなくてよい。
- 観光地に行けばいろんな国の人がいるから注目を浴びない。
旅行はほんの数日間だとしても、かなりのリフレッシュができました。
日本食が食べられる
私が派遣されたヨルダンでは日本食レストランがありませんでした。
そのためヨルダンに来て半年経った頃、日本食を食べるためにエジプトへ旅行しました。
食べたのは塩サバ定食。
半年ぶりに食べる青魚と味噌汁、日本のお米…。
私はもともとエスニック料理も好きなので、日本食にこだわりはないと思っていました。
しかし塩サバを口に入れた瞬間、磯の香りと優しい塩味が口の中に広がって、
思わずため息が出ました。
目がジーンとして涙が出そうなくらい感動しました。
大げさだと思われるかもしれませんが、本当です。
日本食のすごさと、「日本人で良かった」と思ったエジプト旅行でした。
もちろんピラミッドもすごかったですよ。
旅行記は下に記載しています。
任国の良さが分かる
任期中に別の国へ行くと、自分の任国の良さが分かります。
そのため旅行から帰ったあと、残りの活動も頑張ろうという気持ちになれます。
例えば、私は以下のようなヨルダンの良さに気づきました。
- 物価が安い。
- 個人的な頼みを聞いてくれることが多い。(好きな場所でバスから降りられるなど)
- 満員バスでも、女性とお年寄りには必ず席を空けてくれる。
- 困ったときに助けを求めたら、知らない人でも親身になって本気で助けてくれる。
なんだかんだ、私はヨルダンが好きなんだなと、任国外旅行に行って気づきました。
ほんの一部の人から嫌がらせを受けることもよくあったので、ヨルダン人に対して警戒して過ごしていました。
しかし旅行したおかげで、少し余裕をもって人と接することができるようになりました。
青年海外協力隊を終えて日本に帰国した現在も、ヨルダンの良かったところはよく思い出します。
任国外旅行 エジプトとギリシャの旅行記
ここからは私が任国外旅行で行ったエジプトとギリシャの旅行記です。
写真多めです。
ピラミッドと日本食を堪能!エジプト
エジプトの首都カイロに2泊3日滞在しました。
エジプトと言えばピラミッド!
人の手で造られたと思えないほど壮大でした。
ラクダに乗ってピラミッドの真下まで行くことができます。
そして高級ホテルの一角にある、日本食レストラン「牧野」。
和風の店内の雰囲気に癒されつつ、
白米、味噌汁、焼き魚…どれも口に入れるたび感動の声をあげるほど、美味しかったです。
任国外旅行でエジプト・カイロを訪れたときは、ぜひ行ってほしい日本食レストランです。
そしてエジプトの料理と言えばコシャリ。
お米、パスタ、フライドオニオン、ひよこ豆を混ぜたものに、スパイシーなソースをかけて食べる国民食です。
なかなかジャンキーですが、1食100円前後なのでコスパも最高です。
観光客を狙った客引きに注意!
道案内の人が連れて行ってくれた先は、ぼったくりのラクダ乗り場だったというのはよくある話。
先輩隊員から料金の相場は聞いておいた方がいいです。
白と青の街並みと豚肉を堪能!ギリシャ
ギリシャの首都アテネとミコノス島に4泊5日滞在しました。
ギリシャは街がとにかく綺麗でした。
ヨーロッパからの観光客が多く、人も街もおしゃれで写真映え間違いなし。
商店街も市場も活気にあふれています。
魚市場で新鮮な魚を買って、近くの屋台で調理してもらって食べるという超贅沢な食事を楽しみました。
ギリシャの代表的な料理の一つに「スブラキ」という豚肉の串焼きがあります。
私の任国ヨルダンはイスラム教の国なので、アルコールと豚肉がなかなか手に入りません。
なのでここぞとばかりに、ビールとスブラキを食いだめしたのは良い思い出。
美しい風景と海、豚肉に協力隊の疲れを癒された、最高のひと時でした。
観光地ではひったくりやスリに注意!
私はギリシャ旅行中、知らぬ間にボディバッグのファスナーが開けられていました。
油断して背中側にバッグをかけていたので狙われたのだと思います。
バッグは必ずお腹側へ。
※運よく被害はありませんでした。
まとめ:任国外旅行は気分転換と任国を見つめなおす良い機会
- 青年海外協力隊は任期中に海外旅行ができる、私事目的任国外旅行制度がある。
- 任国外旅行で行ける国はJICAが指定している。
- 年間20日旅行できる。
- 日本への帰国もできる。
- 気持ちよく活動するために、任国外旅行に行くべき!