理学療法士の要請は、実務経験3年以上が条件になっているものがほとんどです。
「3年も待てない!早く応募したい!」という人もいると思います。
そこで今回は
- 実務経験が足らないから応募を悩んでいる。
- 理学療法士の最新の倍率が知りたい。
- 理学療法の知識や技術がどのくらい必要なのか知りたい。
という方にむけて
- 合格者の平均経験年数
- 合格率を上げるポイント
- 最新の理学療法士の倍率
- 配属先で求められる理学療法レベル
を経験者目線で詳しく解説します。
私は青年海外協力隊・理学療法士としてヨルダンに派遣されていました。
実務経験5年で参加しましたが、現地で活動していると日本での実務経験の大切さを実感しました。
これから理学療法士として青年海外協力隊を目指す方は、応募や一次・二次選考の参考になると思います。
実務経験が3年なのは、応用力が求められるから
青年海外協力隊が派遣される配属先あるあるですが、
病歴やレントゲン写真など、詳しい医療情報がほとんどありません。
そのため患者や家族、同僚からの情報を頼りに、リスク管理やプログラム立案を自身の経験から判断しなければならないです。
さらに配属先では同僚への技術指導をする場合もあります。
つまり理学療法士として以下のことを満たす必要があります。
- 日本でも理学療法士として自立していること。
- 疾患や環境に臨機応変な対応ができる。
- 指導ができるほどの理学療法技術と知識がある。
実務経験1~2年目は先輩の指導を受けながら理学療法を一通りこなせるくらいでしょう。
しかし実務経験3年もあれば、情報が足りなくても自分で探す力や判断力がついてきます。
新人指導や実習生指導も3年目くらいから任されることが多いです。
そのため「3年」というのが一つの目安になっているのだと考えられます。
理学療法士として自立しているし、経験から判断していく応用力が協力隊の活動では大事ということですね。
私の配属先ではカルテ庫の書類が整理させずにぐちゃぐちゃ…肝心のカルテも名前と疾患名だけ書かれた紙一枚でした。
なので聞いた情報を日本語でまとめて、私専用のカルテを作っていました。
青年海外協力隊合格者の実務経験は平均3~4年
合格が決まった青年海外協力隊の隊員は、任国に派遣される前に訓練所に入所して語学訓練を受けます。
そこで同職種の隊員と初めて会うことになります。
私が入所したときは、理学療法士4名、作業療法士4名でした。
小児、成人、高齢者などの専門分野はそれぞれでしたが、すべての隊員が実務経験4年以上でした。
青年海外協力隊の説明会で出会った理学療法士OB・OGも、3年以上は実務経験をして参加している人がほとんどでした。
合格率を上げるためには実務経験を3年以上積んでいた方が有利ですね。
年齢は20代後半~30代前半の隊員が多かったです。
青年海外協力隊の合格率を上げる4つのポイント
理学療法士として青年海外協力隊に合格するには以下のことを満たしていると良さそうです。
これらは青年海外協力隊に合格した医療系隊員の共通点です。
- 実務経験年数を満たしていること。
- 【重要】自分の経験と求められている事が一致していること。
- 【重要】健康であること。
- 青年海外協力隊の志望動機が明確であること。
青年海外協力隊の合格率を上げるには?
実務経験年数の条件を満たすことは合格率が上がります。
しかし、経験豊富だからといって必ず受かるわけではありません。
要請数より応募者が少なくても、不合格者はいます。
なぜなら協力隊の合否は、応募者の経験と要請で求められていることのマッチングで決まるためです。
ここでは合格率を少しでも上げられるように実務経験をどのようにアピールをしたらよいのか、ポイントをお伝えします。
例えば
実務経験3年以上。 理学療法の対象は4~12歳の子ども。 同僚スタッフの指導、家庭でできるリハビリテーションや介助方法等の家族指導、健康維持や病気予防を目的とした講習会の開催等をする。
という要請があったとして、
- 小児を担当した経験がある。
- 後輩指導をした経験がある。
- 家庭訪問して退院後の環境設定をしたことがある。
- 院内の講習会で講師をした。
という経験があれば、書類や面接では以下のポイントをしっかり押さえてアピールしましょう。
- どのような事をしたかの具体例。
- 難しかったこと工夫したこと。
- 相手の反応。
- 要請内容に一致している自分の経験。
特に重要なのは、要請内容に対してあなたの経験が問題解決に役立つということをアピールすることです。
そうすれば派遣後にあなたが活躍してるイメージを、採用担当者に持ってもらいやすくなるでしょう。
重要!経験以外に必要な青年海外協力隊の合格条件
一次選考では実務経験以外に、健康状態、志望動機など様々な面から合否が判断されます。
健康診断の結果で不合格になる場合もあるようです。
良い健康診断結果をだす方法については、普段から健康を意識して生活するしかないです。
協力隊の志望動機については協力隊に参加したい気持ちを明確にして、ありのままに表現すれば大丈夫です。
理学療法士の倍率は1.75倍
最新の2022年春募集のデータでは、理学療法士の倍率は1.75倍です。
青年海外協力隊の他の職種に比べるとリハビリ職の倍率は低いです。
しかし過去には3倍以上になることもありました。(2021年春募集では3倍でした。)
職種 | 要請数 | (一次選考) | 受験者数(一次選考) | 合格者数倍率 | (二次選考) | 受験者数(二次選考) | 合格者数(一次選考受験者数 ÷最終合格者数) | 最終的な倍率
理学療法士 | 22 | 35人 | 32人 | 1.1 | 31人 | 20人 | 1.75 |
作業療法士 | 39 | 10人 | 10人 | 1 | 10人 | 8人 | 1.25 |
言語聴覚士 | 9 | 5人 | 4人 | 1.25 | 3人 | 3人 | 1.7 |
さてここで注目したいのが、要請数の数と二次選考の合格者数です。
理学療法士の要請数22個に対して、応募者は35人もいたのに、合格者数は要請数より少ない20人…。
作業療法士、言語聴覚士にいたっては、要請数よりも応募者数が少ないのに、不合格者が出ている。
つまり、応募者が多かろうが少なかろうが、条件を満たす、かつ要請内容に応募者がマッチングしなければ不合格になるという事がわかります。
合格のためには上記した4つのポイントが重要だということがわかります。
- 実務経験年数を満たしていること。
- 【重要】経験と求められている事が一致していること。
- 青年海外協力隊の志望動機が明確であること。
- 健康であること。
青年海外協力隊の理学療法士に求められるレベル
青年海外協力隊の理学療法士として活動するために、高度な技術や知識は実は必要ありません。
必要なのは症例の基本的な知識と、それを解決するための理学療法技術や現場の経験です。
「経験年数が3年以上」と書かれている要請は、理学療法と医療従事者としての基本を押さえておけば大丈夫です。
例えば理学療法士として小児分野の要請であれば以下の事を理解しておけば十分です。
- 脳性まひの分類
- 正常運動発達
- 学校などでの環境設定
- リスク管理
小児分野の理学療法士にとっては基本中の基本と感じるでしょう。
小児も成人分野も、国家試験にでるようなレベルが協力隊二次選考の記述や技術面接で問われます。
この辺りは日々の業務をこなしていれば自然と知識と技術は身につくと思います。
では医療従事者としての基本とは何が求められるのでしょうか?
- 多職種連携の大切さの理解
- 清潔・不潔の知識
- 患者が社会復帰した後の予測や対応 など
私が実務経験が必要だと実感したのは、「医療従事者としての基本」が配属先での活動のポイントになったからです。
このポイントは青年海外協力隊の理学療法士に求められる「CBR(地域に根ざしたリハビリテーション)」につながります。
同僚は理学療法の知識を持っている
多くの要請内容に「理学療法の技術や知識を伝達する」という事が書かれています。
しかし現地の同僚、特に理学療法士の資格を持っているスタッフは、解剖学や運動学などの知識があります。
さらに治療手技の知識も経験もすでに豊富だったりします。
こっちが教えられることないじゃ~ん!
と思いますよね。
私も最初の一年間はそう思って活動をしていましたし、
私がここにいる意味ってなんだろう…。
と、もんもんと考えていました。
しかし活動期間が長くなるにつれ、患者やスタッフを取り巻く環境が徐々に見えてきます。
例えば…
- 身体に合っていない椅子に座っている。
- お互いの負担になるような介助方法をしている。
- 汚染物が床に放置され、清掃スタッフが素手で拾っている。
身体の悪化防止や感染症予防のために日本では当たり前のように行っていることが、配属先では見過ごされていることもあります。
そのため、青年海外協力隊の理学療法士として活動するためには、医療を行うための基礎知識はやはり重要になってきます。
活動を展開させるヒントは多職種連携
まとめ
- 日本の医療に携わる理学療法士として、基礎知識が求められるから実務経験は必要。
- 要請内容に対して、経験がどれだけ生かせるかが重要。
- 倍率は低いが、要請内容とのマッチングが合否を決める。
青年海外協力隊に「挑戦したい!」と思った時が絶好のタイミング!