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    理学療法士が青年海外協力隊に参加するメリット・デメリット

    理学療法士のメリットとデメリット
    • 理学療法士としてどんな事が良かったのか、悪かったのか実体験を聞きたい。
    • 現場を離れても社会復帰できるの?
    • ボランティアだから収入がなかったり、協力隊に参加するためのお金も心配。

    2年間、日本の医療現場を離れることは様々な不安がありますよね。

    私は理学療法士として青年海外協力隊に2年間参加し、帰国して5年が経ちましした。

    その経験を踏まえて理学療法士として青年海外協力隊に参加するメリットとデメリットをまとめました。

    結果、私は青年海外協力隊に参加して本当に良かったと思っています。

    なぜなら日本にいたら絶対に経験できないことの連続で、物事に対する視野も広がったからです。

    この記事を読むことで、あなたが青年海外協力隊に参加する理由の一つにでもなれば良いと思います。

    目次

    理学療法士としてのデメリット3つ

    おそらくこの記事をよんでいる理学療法士のあなたは青年海外協力隊に参加したい気持ちが強いと思います。

    なのであえてデメリットから紹介します。

    理学療法士としての技術は落ちる

    残念ながら理学療法士としての技術は落ちます。

    なぜなら日本で働いているときに比べると患者をみる数が圧倒的に減るからです。

    協力隊の要請書には「患者は数十名いて…」みたいな事が書かれている場合が多いです。

    しかし実際に行ってみると患者がいなかったり、同僚もいなかったり…なんてことは協力隊あるあるです。

    私が配属された支援学校は小児の外来リハビリを行っていましたが、患者は1日2人来れば良い方でした。

    寒すぎたり暑すぎたり、雨が降ったりすると外に出たくないのか、誰も来ない日もよくありました。

    患者に触れる機会が減り、症例を調べたりする機会も減るので、日本で働いているときよりもどんどん腕がなまっていきます。

    同僚に対してのストレスが多い

    活動中に同僚に対して不満を抱くことが多かったです。

    なぜなら仕事に対しての価値観、文化が違うからです。

    以下は実際に何度かあったことです。

    ヨルダン人同僚の担当患者がリハビリ室に来たので、別室にいた同僚を呼びに行くと、

    今お茶をしているから、あなたがリハビリをやっておいて。

    とソファーにどっしり座って甘いお茶とお菓子を食べている同僚に仕事を投げられたことがありました。

    日本の医療現場ではありえないです。

    これがカルチャーショックというのでしょう。

    仕事に責任感をもつ日本の働き方とのギャップがあり

    「もっとまじめに仕事してほしい!」

    と私一人がイライラしていました。

    しかし、同僚だけでなく他のヨルダン人を見ていると

    「自分のやりたいこと優先」

    で動いていることがわかってきました。

    周りとの調和を大切にし仕事優先の日本人にとって、個人とプライベート優先の現地人の考えを受け入れるまでにストレスを感じることが多いです。

    価値観や文化の違いを肌で感じて腑に落ちるまで、一年くらいかかりました。

    価値観を受け入れることができると、自分優先の同僚を見ても

    「やっぱり仕事しないよね~まぁいっか。」

    くらいにしか感じなくなります(笑)

    日本社会の苦しさを実感する

    帰国後、就職して再び日本社会に戻った時、仕事が予定通りに進む感動と同時に、苦しさを感じました。

    日本人の働き方がまじめすぎる…(笑)

    今度は帰国後に逆カルチャーショックになります。

    私は帰国後、訪問看護ステーションで理学療法士として働いています。

    • 読まれているのかわからない大量の書類作成。
    • 業務時間外であっても利用者優先のスケジュール調整。
    • 超過勤務にならない勉強会。
    • そしてだれも文句を言わない。

    仕事がスムーズに行えるのも、利用者の満足度が高いのも素晴らしいことです。

    きめ細やかな医療や福祉の体制も、日本人のまじめさで成り立っているのだと思います。

    しかし「ここまでする必要ある?しなくても業務は成り立つよね」と思う業務が帰国後に多くなりました。

    その不必要だと感じる業務をしなければいけないストレスがあるのも確かです。

    要は日本社会に適応しづらくなったということでしょう。(笑)

    理学療法士としてのメリット6つ

    デメリットに挙げたように、青年海外協力隊に参加することで理学療法士としての技術・知識の成長は一時的に止まります。

    しかし、帰国後も理学療法士を続けるか続けないかに関係なく、人生経験としてのメリットは大きいです。

    自分の時間がたくさんある

    日々業務に追われる理学療法士にとっては一番のメリットです。

    日本の生活では考えられないくらい、一日に自分の時間がたくさんあります。

    なぜなら活動時間が日本より短いからです。

    私は支援学校のリハビリ科に配属されました。

    活動時間は支援学校が開いている朝8時半から13時まででした。

    13時を過ぎると生徒たちがスクールバスに乗り、出発と同時に学校の門が閉まります。

    学校の先生もセラピストも居残りせずさっさと帰宅します。

    日本でいう「午後半休」が週5日続くのです。

    活動が終わったあとは自宅に戻って本を読んだり、料理をしたりしてゆっくり過ごしていました。

    配属先によって違いはありますが、協力隊員の話で「日本にいるときより時間に追われている」という人はいませんでした。

    私が協力隊参加前に働いていた病院では、以下のような日常でした。

    • 朝8時半から夕方17時半までリハビリ業務。
    • 業務時間外にカルテの記載や車椅子の調整、院内研修。
    • 帰宅するのは20時前後。
    • 疲れているし、ご飯を食べて寝るだけ。
    • 頭の中が混乱して不眠。

    毎日が忙しすぎて頭のなかが整理できず、精神的に辛くなってきていきました。

    時間に追われる日常を送っていた中、協力隊で理学療法士としてヨルダンに派遣され、ゆっくり時間が流れる生活に最初は戸惑いました。

    しかし時間に余裕があることで、自分のことに集中する時間が増え、「今自分がなにを感じているか」に気づけるようになりました。

    自分の性格に合った時間の使い方が見つかったことは、帰国後の就職先を選ぶときの基準になりました。

    • 残業はしない。
    • 一人で考える時間を確保する。

    協力隊に参加したことは、帰国後に生活を続けていくために、どんな環境が自分に合っているかを知る良い機会でした。

    協力隊参加前に働いていた時よりも、精神的に落ち着いて自分の仕事に集中して取り組めるようになりました。

    日本の医療・福祉の素晴らしさを実感する

    日本の医療や福祉は本当に素晴らしいと実感します。

    なぜなら障がいを持つ人の生活をサポートする国の制度が整っているからです。

    例えば車椅子を利用している方が外出しよう思ったら、介護タクシーやヘルパーさんを利用できます。

    障がい者手帳などがあれば貧富の差関係なく、高水準な医療や福祉サービスを受けることができます。

    しかし途上国では障がい者をサポートする国の体制が整っていないことが多く、家族や近所の人などに頼らざるを得ない状況が多いです。

    私がヨルダンの小児リハビリ施設で活動している間に、車椅子に乗ってリハビリを受けに来た子どもは一人も見たことがありません。

    そして胃ろうや痰吸引などの医療ケアが必要な子どもも見たことがありません。

    • 子どもの身体にあった車椅子や装具を作る技術や専門家がいない。
    • 車椅子を乗せられる車やバスがない。
    • 高額なため手術を受けることができない。
    • 医療ケアの器具が手に入らないため外出できない。

    日本では国の制度を利用して、障がい者本人の要望にあった医療・福祉のサービスを受けることができます。

    障がいを持つ本人や家族に対して、国レベルでサポートをし、各サービスに専門家がいる日本の医療・福祉は本当に素晴らしいと実感します。

    お金の心配がいらない

    理学療法士としてはお金の心配がいらないのはかなり大きいです。

    なぜなら、準備や渡航費、現地での生活費はJICAからすべて支給されるからです。

    さらに国内手当もあります。

    青年海外協力隊に参加すると2年間で約200万円が自分の国内口座に振り込まれます。

    理学療法士の平均年収は400万円前後、手取りにすると約320万円です。

    協力隊に参加すると1年間で約100万円が口座に支給されるので、理学療法士の手取り年収3分の1が貯金できるという計算になります。

    決して高いとは言えない理学療法士の給料にとって、この国内手当はかなり大きいです。

    ※ただし派遣中の国民年金や携帯電話の維持費も考えておく必要があります。

    帰国後、就職の心配がない

    理学療法士の有効求人倍率は約4.6倍(令和元年)です。

    仕事を求めている人よりも求人を出している施設の数の方が多いです。

    つまり帰国後も理学療法士として働くのであれば、就職には困らないという事です。

    私も帰国から3か月後に就活をしたら、1つ目の求人にあっさり決まりました。

    みず

    帰国後はのんびりしたかったので時々アルバイトをしつつ、実家にしばらくこもっていました。

    一目置かれた存在になる

    海外で、しかも発展途上国で2年間も生活していた理学療法士はかなり珍しい存在になります。

    外国語を話せて海外で働いた「優秀な人」に見られることもあったりします。

    みず

    実際は少し行動力があっただけなんですが…

    青年海外協力隊に参加していたという事はインパクトがあるようで、利用者や家族との話のネタになったりもします。

    私が通っていた大学の先生からも「青年海外協力隊の経験を伝えてほしい」と、講師のお誘いが来たこともありました。

    外国語が身につく

    青年海外協力隊に参加し、派遣先で生活していると自然に語学が身につきます。

    なぜなら日常的に現地人とコミュニケーションを取るからです。

    青年海外協力隊に応募するためには一定以上のTOEICのスコアや英検が必要です。

    しかし応募の段階で十分なコミュニケーションができることは求められません。

    では青年海外協力隊に参加が決まったら、どのように言語を習得していくかを解説します。

    青年海外協力隊では語学訓練が行われます。

    • 派遣前訓練で2か月
    • 派遣後の現地の語学学校で2カ月

    計4カ月かけて語学を学びます。

    英語以外の言語の場合、

    • 派遣前訓練…読み書き、お店での注文や道案内などができる
    • 現地の語学学校…派遣先の言語の再学習や方言の習得

    くらいのレベルまで語学訓練では習得できます。

    (英語圏に派遣される場合はTOEIC640点以上の高いレベルが求められ、語学訓練でもテクニカルクラスという専門に特化した英会話を学びます。)

    現地の語学訓練卒業後はそれぞれの任地に派遣され、日本人が周りにいない中、活動を行っていきます。

    派遣後1年が経過したころには相手が言っている事の理解と簡単な意思表示、

    2年経過したころにはスムーズに日常会話ができるレベルまでになります。

    理学療法士で外国語が話せる人は少ないです。

    現在は外国人の患者も増えているので、役に立つ時があるかもしれません。

    まとめ

    • 時間に余裕がある。
    • 日本の素晴らしさを実感する。
    • お金の心配はいらない。
    • ちょっと特別な理学療法士になる。

    理学療法士が青年海外協力隊に参加するメリットは大きいです。

    理学療法士の技術は数値化できませんし、利用者や家族をどれだけ満足させられるかが重要なので、技術が落ちる事はあまり気にしなくて良いと思います。

    日本の医療現場に戻れば、技術・知識はまた成長します。

    帰国して数年たった今でも、私は参加してよかったと思っています。

    海外で仕事をして生活することは辛い事も多いですが、日本では絶対に味わえない経験ばかりです。

    理学療法士として視野を広げたい方は、ぜひ青年海外協力隊に参加しましょう。

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