- 青年海外協力隊の活動ってどんなことをするの?
- ノルマはあるの?
- 協力隊1日のルーティンが知りたい
- 休日はある?
このような疑問に向けて、私の経験を踏まえた活動内容や派遣国での生活を紹介します。
- 元青年海外協力隊員
- ヨルダンの支援学校とリハビリ施設に配属
- 子ども専門の理学療法士
- 30代女性
青年海外協力隊の活動内容は、派遣国・職業が隊員ごとに違うので、明確な定義が難しいです。
実際には協力隊員1人ひとりに「要請内容」というものがあり、
- 同僚に技術移転・助言
- 生徒の教育
- ワークショップの開催 など
が活動内容として求められています。
しかし「要請内容」の情報が古くなっていることもあり、実際に派遣されても仕事が無かったという事はよくあります。
そのため、協力隊の活動は、現地の人とコミュニケーションの中で、自分で探し、行動しながら決めていくことが基本になります。
しかも協力隊の活動には明確なノルマはありません。
最終的な活動の締めくくりも自分で決めていきます。
それでは詳しく解説していきます。
青年海外協力隊の活動内容は定義できない
青年海外協力隊が活動する分野は大きく分けて9つあります。
- 計画・行政
- 公共・公益事業
- 農林水産
- 鉱工業
- エネルギー
- 商業・観光
- 人的資源(教育やスポーツ競技など)
- 保健・医療
- 社会福祉
青年海外協力隊の選考では、各分野の専門知識を持つ人が選ばれ、協力隊として各国に派遣されます。
しかし青年海外協力隊の活動内容を定義するのは難しいです。
なぜなら同じ分野・職業でも、求められることは隊員1人ひとり異なるからです。
例えば、協力隊には「要請内容」というものがあり、派遣先で求められる活動として以下のことが書かれています。
- 同僚に技術移転・助言
- 生徒の教育
- ワークショップの開催 など
これらが青年海外協力隊の主な活動内容になります。
しかし実際に現地に派遣されてみると、
- 同僚がいない
- 生徒が少ない
- 配属先のトップが変わっている
という事はよくあります。
配属先には行くけど、何も求められていない状態からスタートすることは、協力隊あるあるとも言えます。
各国の要請から人材の決定・派遣まで数年のタイムラグがあると言われています。
その間に配属先の状況が変わることはよくあります。
そのほか、「恋愛・生活の協力隊あるある」は以下の記事をご覧ください。
青年海外協力隊として活動を進める方法3つ
前の項目で、協力隊は「何も求められていない状況からスタートする」と説明しました。
では青年海外協力隊はどうやって活動を進めていくかについて、自身の経験を踏まえて3つ紹介します
- 活動は自分で探して行動し、見つける
- 活動はスムーズにいかないのが当たり前
- 活動の締めくくりは自分で決める
詳しく解説していきます。
活動は自分で探して行動し、見つける
青年海外協力隊の活動は自分で探して行動し、見つけていくことが基本です。
なぜなら最初のうちは、現地の人からボランティアを求められることは無いからです。
現地の人が困っているから協力隊が助けに行くんじゃないの?
と思っている人も多いはず。
私も現地で活動をするまではそう思っていました。
しかし、現地の人にとっては「この日本人、誰?何しに来たの?」といったところでしょう。
だって現地の人は今までも普通に生活できていたし、急に来た日本人に何ができるかわからないから。
なので、まずは配属先のマンパワーとして働き、自分のスキルをアピールすることから始めます。
マンパワーとして働いているうちに、
- もっとこんな技術があれば効率的なのに
- 作業のやり方が危なっかしくて、ケガしそう…
など、専門分野の知識を持った協力隊から見て、配属先に対する気づきがどんどん出てきます。
それらの「気づき」をどう伝えるかを考え、試行錯誤していく事が、協力隊活動のメインになります。
ボランティア事業については、あらかじめJICAスタッフが配属先のトップに説明しています。
活動はスムーズにいかないのが当たり前
断言します。
青年海外協力隊の活動は全然スムーズにいかないです。
なぜなら、現地の人と活動を進めていくには、たくさんの壁があるからです。
例えば以下のような壁です。
- 言葉
- 信頼関係
- 配属先の方針
- スタッフの性格
当たり前ですが、言葉が喋れないと信頼関係も築けません。
さらに配属先の方針やスタッフの性格によって、協力隊員からの提案は拒否されることもあります。
提案を拒否する理由は、
- 必要性を感じない
- めんどくさい
などです。
そのため、良かれと思って日本人目線で提案しても、なかなか意図が伝わらず、活動が進まないのが現状です。
逆の立場で考えればわかりやすいです。
信頼関係も築けていない外国人が仕事に口出ししてきたら嫌ですもんね。
【ノルマは無い】活動の締めくくりは自分で決める
活動の締めくくりは自分で決めます。
なぜなら、青年海外協力隊の活動には明確なノルマがないためです。
明確なのは、2年後の帰国日のみ。
JICAスタッフや配属先のトップから活動の出来を評価されることもありません。
限られた時間の中で、
- 自分が何をしてきたか
- 上手くいったこと
- 失敗したこと
- 変化したこと
などを隊員それぞれが自分目線で評価し、活動の区切りを決めます。
ボランティア報告書と報告会が定期的にある
青年海外協力隊は2年間の派遣中、ボランティア報告書を5回提出、報告会を2回行います。
報告書や報告会により、活動を定期的に振り返ることができます。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
協力隊生活1日のルーティン・具体的な活動内容
ここからは、私個人の協力隊生活1日のルーティンや具体的な活動内容を紹介していきます。
私は理学療法士隊員として、ヨルダンに2年間派遣されていました。
1日のルーティンは以下の図の通りです。
具体的な活動内容と生活について、以下の4つを紹介します。
- 活動時間は5~6時間
- 要請内容は子どものリハビリと技術指導だが…仕事が無い
- 2つ目の配属先は活動がスムーズに進む
- 自由時間がたくさんある
活動時間は合計5~6時間
私の配属先である特別支援学校は、朝8時頃に始まり、14時過ぎに終わります。
そのため、活動時間は合計5~6時間でした。
日本の8時間勤務より2~3時間も少ないので、1日がゆったり過ごせます。
終業時間になったら生徒や先生、所長もさっさと帰ります。
なんなら終業時間10分前にはカバンを背負って、全員帰る準備万端です。
終了時間の数分後には門の鍵が閉まっていました。
始まる時間は緩く、終わる時間はキッチリ。日本とは逆ですね。
要請内容は子どものリハビリと技術指導だが…仕事が無い
理学療法士である私の要請内容は、主に以下の2つでした。
- 子どものリハビリ
- 同僚の技術指導
子どものリハビリとは、生まれつき手足に障がいを持つ子どもを対象に、ストレッチをしたり、座る・歩くなどの訓練を行います。
配属先の特別支援学校にはリハビリで使うマットや器具類などはあり、物は揃っていましたが…
一番困ったのは仕事が無いこと。
特別支援学校にリハビリ目的で通ってくる子どもは週に2,3人でした。
しかも現地の同僚は仕事をやる気が無かったのか、別の部屋で寝ていたり、スマホゲームをしていました。
私は週5日、計30時間も配属先にいるのに、
- 1週間で実質2~3時間しか活動していない
- コミュニケーションをとる同僚もいない
というような状況でした。
最初の一年間はこのような状況だったので、JICAスタッフに相談し、別の配属先を紹介してもらうことにしました。
結果、協力隊2年目からは
- 元々の特別支援学校
- 小児リハビリ施設
の2か所で活動することになりました。
2つ目の配属先は活動がスムーズに進む
2つ目の配属先である小児リハビリ施設では活動がスムーズに進みました。
理由は以下の2つです。
- リハビリを受ける子どもの数が多かった
- 積極的に同僚とコミュニケーションを取った
施設を利用する子どもが多かったので、単純に仕事が増えたというのもありますが、特に同僚とコミュニケーションを取れたことが良かったです。
というのも、1つ目の配属先の同僚とはコミュニケーションを取る機会が少なかったので、あまり良い関係が築けませんでした。
同僚のことを「仕事をしたがらない人」と決めつけて、私自身がコミュニケーションを避けたのも良くなかったと思います。
そのため、2つ目の配属先では、積極的に同僚とコミュニケーションを取るようにしました。
専門的な事だけでなく、ご飯や美容、宗教などの雑談をする中で、お互いが意見を言える関係性が築けました。
結果、双方の意見を取り入れながらリハビリが実施できたり、利用した子どもや家族が「楽しかった!またリハビリしてね。」と言ってくれることもありました。
自分の時間がたくさんある
協力隊として生活している間は、とにかく自分の時間がたくさんありました。
なぜなら活動が14時過ぎ終わるので、15時前には帰宅できていたからです。
自宅に帰って以下のような自由時間を過ごしていました。
- 趣味の楽器を練習する
- 語学の勉強をする
- 読書する
- YouTubeをみる
- 自宅周辺を散歩する
日本でフルで働いていれば決して味わえない、贅沢な時間の使い方ができます。
休みは週休2日
私が協力隊としてヨルダンで活動していた時は、日本と同じく週休2日でした。
1週間の流れは以下の通りです。
ヨルダンはイスラム教の国なので、金曜日が安息日となり、金・土曜日が休日です。
そのため、週明けは日曜日から活動がスタートするという、少し不思議な感覚でした。
祝日は派遣国のカレンダーに従う
日本と同じく、それぞれの国には祝日もあります。
派遣国の祝日は、協力隊活動は基本的に休みです。
逆に日本の祝日である正月やお盆休みは、派遣国にとっては普通の日なので、いつも通り働きます。
祝日は宗教行事が関係することよくあります。
急に休日になる場合もある
2年間も現地で生活していると、急きょ活動が休みになることは何度かあります。
私の派遣国ヨルダンで、急に休日になった例を挙げます。
- 選挙の日やデモ
- 暑すぎる
- 雪が降る
- 国際関連の事件が起こる
詳しく解説していきます。
選挙の日やデモ
選挙の日やデモは、国民が興奮気味になるので、危険に巻き込まれる可能性が高くなります。
そのためJICAから自宅待機命令が出たので、活動は休みになりました。
暑すぎる
暑すぎるというのも、健康上の理由で休みになったことがありました。
配属先の所長が、前日に「暑いから明日は休みね!」と私に連絡をくれました。
「暑いくらいで休みになるの?」と最初は疑問に思っていました。
しかしその理由がよくわかりました。
ヨルダンの夏は激アツです。
ヨルダンの夏の気温は40度前後が続き、地域によっては50度近くになります。
砂漠地帯なので空気は乾燥し、家の中は扇風機だけでもなんとか過ごせますが、外は歩けません。
少し歩くだけでも、目や肌が痛くなります。
真夏の昼間は誰も外を歩いていませんでした。
雪が降る
日本じゃあり得ないなと思ったのが、雪が降ったら休みということ。
雪の予報が出ると、ヨルダン全土が休みになります。
理由は安全面からです。
ヨルダンは海抜マイナス400mから海抜1,600mで標高差が地域によって大きく異なり、雪が降らない所もあります。
それでもヨルダンの学校や会社はお休みです。
大雪や台風直撃でも定時に出勤する日本とは全然違います。
天気が最悪でも出勤しなきゃいけない日は、ヨルダンの大らかさが懐かしくなります。
国際関連の事件が起こる
派遣国内または近隣国で、日本が関係する国際関連の事件が起こった場合も休みになります。
理由は身の安全を確保するためで、JICAや現地の日本大使館から通達があります。
例えば、2015年シリアで起きた日本人拘束事件では、ヨルダンも深く関わり、日本のニュースでも連日大きく取り上げられました。
事件当時、私はまだ日本にいて、半年後にヨルダン派遣を控えている状況だったので体験していないのですが、
すでにヨルダンにいた先輩隊員の話では、しばらくの間活動は休止し、外出自粛となっていたようです。
まとめ:活動内容は自分で探して決めていくのが基本
青年海外協力隊の一般的な活動内容や、私個人の活動内容を紹介してきました。
「要請内容」に沿った活動ができることはまず無いですし、
最初から現地の人に活動を求められることはありません。
決められた活動内容は無いといっても良いでしょう。
そのため、基本的には自分にできる事を探すことから始め、2年間ひたすら試行錯誤します。
結果として、日本に帰った後も行動力が付くのは間違いないです。
青年海外協力隊の活動内容に興味がある人にとって、この記事が参考になれば幸いです。