- 祖父母や両親が危篤の場合、帰国したい
- 友人の結婚式に出席したい
- 気分転換に帰国したい
青年海外協力隊として2年間も海外で活動しているといろんな変化があり、帰国したくなることが出てきます。
そこでこの記事では青年海外協力隊の一時帰国についてまとめました。
この記事を読めば以下のことがわかります。
- 一時帰国に関するJICAのルール
- 一時帰国の期間や費用
- 家族が危篤の場合の帰国
- 負傷や病気での帰国
- 活動ができないほどの緊急事態発生時の帰国
私は派遣期間中に姉の結婚式で一時帰国をしました。
もしものことがあった場合に、日本へ帰国できることを知っていれば自分も家族も安心ですよね。
青年海外協力隊に参加したいけど家族が心配だったり、日本でやるべき事が出てきそうな人は、ぜひ参考にしてください。
- 元青年海外協力隊員
- ヨルダンの支援学校とリハビリ施設に配属
- 子ども専門の理学療法士
- 30代女性
青年海外協力隊が私用で一時帰国できる日数・回数・条件
青年海外協力隊員が活動中、親族・友人の結婚式や気分転換などの私用で帰国したい場合、
私事目的任国外旅行制度
という制度が利用できます。
私事目的任国外旅行制度とは派遣国以外の国(日本を含む)に旅行できるというものです。
任国外旅行として一時帰国または海外旅行できる回数や条件は以下の通りです。
旅行日数 | 年間:上限20日(繰り越しなし) |
---|---|
旅行回数 | 原則として半年に1回 |
条件 | ・派遣されて90日以上経過していること。 ・配属先から許可があること。 ・ボランティア活動に支障がないこと。 ・旅行先や経由地が安全上または外交上問題がないこと。 ・旅行の目的地がJICAが決めた国であること。 |
旅費 | 全額自己負担 |
日本に一時帰国できる回数は、派遣されて90日以上経過していれば何度でも帰国できます。
しかし前回の旅行から半年以上は期間が空いていなければいけません。
例えばヨルダン派遣中、4月にエジプトに旅行をしたとします。
すると10月まで日本を含むヨルダン国外への旅行はできません。
一度任国外旅行をすると半年間は一時帰国ができなくなるので注意が必要です。
一時帰国の日程が決まっている場合は、あらかじめ期間を調整しておきましょう。
任国外旅行制度は日本以外の国へ旅行するときも同じ条件です。
私用以外で青年海外協力隊員が一時帰国するケース4つ
青年海外協力隊として2年間も海外で活動していると、緊急で一時帰国しなければならない状況があるかもしれません。
そこで、JICAが定めた一時帰国の対象となるよくあるケースを4つ挙げます。
- 忌引一時帰国
- 見舞一時帰国
- 療養一時帰国
- 避難一時帰国
上記の4ケースは緊急なため、派遣後90日間経っていなかったり、前回旅行から半年が経過してなくても一時帰国ができます。
それぞれ詳しく解説していきます。
①忌引一時帰国
協力隊員の両親・配偶者・子どもが亡くなった場合、忌引きとして一時帰国できます。
忌引一時帰国の対象になるのは以下の親族が亡くなった場合です。
- 協力隊員の配偶者
- 一親等にあたる両親
- 協力隊員の子ども
日本滞在日数 | 協力隊員の配偶者 …10日間 一親等にあたる両親 …7日間 協力隊員の子ども …5日間 |
---|---|
旅費 | 支給あり ただし25,000円自己負担 |
忌引一時帰国の場合、派遣国から成田・羽田までの航空運賃の25,000円を自己負担すれば、残りはJICAが公費負担してくれます。
しかし、祖父母や兄弟など二親等にあたる人物が亡くなった場合は忌引一時帰国の対象になりません。
そのため、帰国したい場合は任国外旅行制度を利用し、航空運賃も全額自己負担で帰国することになります。
また以下の場合は任国外旅行として帰国できないので注意が必要です。
- 任国外旅行後、半年が経過していない場合
- 年間の旅行日数20日間を消化している場合
大切な人に何かあった時、すぐに駆け付けられないのが協力隊の辛いところです。
余命宣告を受けた祖父がいた協力隊の友人は、祖父が亡くなっても帰国しないことを家族と話し合って参加していました。
いざとなった時にどうするか、渡航前に家族と話し合っておきましょう。
②見舞一時帰国
見舞一時帰国の対象になるのは以下の親族が危篤の場合です。
- 協力隊員の配偶者
- 一親等にあたる両親
- 協力隊員の子ども
日本滞在日数 | 最大15日間 |
---|---|
旅費 | 全額自己負担 |
見舞一時帰国中、配偶者や一親等にあたる人物が亡くなった場合は忌引一時帰国に切り替わります。
③療養一時帰国
青年海外協力隊員の病気やケガに対し、派遣国での治療が難しいとJICA顧問医が判断した場合、日本に一時帰国して治療を受けることになります。
日本滞在日数 | 治療に必要な期間 |
---|---|
旅費 | 全額支給 |
療養一時帰国は療養地(自宅を含む)に行くまでの航空運賃や宿泊費がすべて支給されます。
療養が90日目までに帰任の目処が立たない場合は派遣期間が短縮になります。
派遣国では十分な治療が受けらず、日本でないと治療できない病気やケガがあります。
しかし派遣先の活動が中断することや、残り時間が少なくなることに悔しさを感じる協力隊員がほとんどです。
発展途上国で健康に暮らすには、衛生面や安全面を常に考えておく必要があります。
④避難一時帰国
テロや治安の悪化、感染症などで協力隊員の身が危険だとJICAが判断した場合、
自宅待機や首都へ避難、帰国などの命令がかなり早い段階で出ます。
日本滞在日数 | JICAが指示した期間 |
---|---|
旅費 | 全額支給 |
避難一時帰国が実施された例は最近でいえば、新型コロナウィルス感染症の世界的流行です。
2020年3月にはすべての青年海外協力隊員が日本へ帰国しました。
この頃にはまだ感染者が出ていない派遣国もありましたが、結果として世界的な感染拡大になりました。
2020年3月の対応についてJICAは以下のように説明しています。
“派遣先には医療体制が整っていない地域も多く、移動制限を始める国もある中、万が一の事態に備えて、隊員の健康を考えた予防的な措置だ”
青年海外協力隊 全員一時帰国へ 新型ウイルス影響 より
青年海外協力隊は安全第一なため、JICAはかなり早い段階で待機や退避を決定します。
まとめ:青年海外協力隊は状況に応じて日本へ帰国できる。
- 私用の一時帰国は私事目的任国外旅行として可能
- 私事目的任国外旅行は原則半年に1回
- 配偶者、両親、子どもの場合は、忌引・見舞一時帰国が利用可能
- 祖父母、兄弟の葬儀の場合は私事目的任国外旅行として帰国可能
- 忌引一時帰国の航空運賃は25,000円自己負担
- 療養一時帰国、避難一時帰国は全額支給