青年海外協力隊員って発展途上国に住むから、女性には危険なんじゃない?
このような疑問に対して、元青年海外協力隊・女性である私の体験談と対策をまとめました。
結論として、日本に比べてセクハラに遭う確率は高いです。
もちろん派遣される国や住む地域によって、被害に遭う確率はかなり差があります。
この記事では、私が派遣された中東ヨルダンの体験談をもとに、
- セクハラ被害の実例と対策
- 自分でできる安全対策のポイント
以上2点を紹介します。
全ての青年海外協力隊員は、セクハラを含めた安全対策の講習を受けます。
しかし安全対策を行っていても、被害に遭うことがあります。
短期の海外旅行でも当てはまる事ですが、女性が海外で過ごすリスクをしっかりと知って、意識して「自分の身は自分で守る」を心掛けていきましょう。
- 元青年海外協力隊員
- 中東ヨルダンで2年間生活
- 子ども専門の理学療法士
日本人女性はセクハラに遭いやすい
派遣国で女性に起こりうる危険は、セクハラです。
なぜなら私がヨルダンで過ごした2年間、面識のない現地男性から以下のような被害に何度も遭ったためです。
- 胸やお尻を触られる
- 髪を触られる
- 身体に密着される
- 卑猥な声掛けやハンドサインをしてくる など
セクハラされると、ほんっっと精神的ダメージが大きいです。
セクハラの標的になる理由2つ
私個人の見解ですが、セクハラの標的にされる理由を2つ考えてみました。
- 日本人女性は優しい
- アジア人女性には性的なイメージがある
詳しく解説していきます。
日本人女性は優しい
日本人女性は…と、ひとくくりにしてもいけませんが、外国人女性に比べて以下のような特徴があります。
- 自己主張が少ない
- 人あたりが良い
- 争いを好まない
- 我慢強い
日本人女性の特徴はメディアなどで拡散され、外国人も知っています。
例えばあなたが外国に行ったとき、テンション高めな現地男性に声を掛けられたことはありませんか?
それに応えるために、ほほ笑みながら手を振って会釈とかしていませんか?
これをすると、
- 一緒に遊べる、とか
- 触れてもいい、とか
勘違いしてしまう現地男性が残念ながら一定数います。
そして近づいてきて「一緒に写真を撮ろう」とか言いだし、馴れ馴れしく密着して肩に触れてくるパターン。
地域問わず、海外滞在先で私は何十回も経験しました。
愛想のいい女性は可愛いです。
しかし一部の現地男性からしたら、
ニコニコした、騒がない都合のいい女
なのでしょう。
もちろん、日本人女性を尊重し、適切な距離を保つ外国人男性がほとんどです。
ただ自分の身を守るためには、
- 相手からどのようにみられているか
- 下心はあるか など
よくよく観察する必要があります。
アジア人女性には性的なイメージがある
アジア人女性に性的なイメージを持っている外国人男性が時々います。
海外で風俗関連に従事するアジア人女性がいることは確かですが、
- 全てのアジア人女性が性に開放的だ
- アジア人女性に差別や危害を加えても問題ない
などと一部の人は勘違いしているようです。
例えば私がヨルダン生活中、インターネットのアニメ動画を見ていた時の体験です。
ネット広告はヨルダン人向けの広告が出てきます。
その広告の中で時々、タイトでセクシーな衣装を着たアジア人女性の写真が出てきて、
アジアの女の子達があなたを待っているよ。
とキャッチフレーズが書かれた男性向けの広告が入ることがありました。
広告にするほどヨルダンでは需要があるコンテンツなのだと思います。
ヨルダン生活で体験したセクハラの実例と対策
私が青年海外協力隊員としてヨルダン生活を送っていた時、体験した実例と対策を2つ紹介します。
- ストーカー行為
- 露出狂
【実例1】ストーカー?自宅の近くまでついてくる青年たち
ヨルダンに派遣されて3カ月ほど経った頃の話です。
私の配属先は首都アンマンからバスで約2時間のところにありました。
配属先の地域はアラブ人ばかりで、外国人がほとんど住んでいない地域でした。
そうなるとアジア人である私は、容姿がかなり目立ちます。
家にいるとき以外は、誰かの視線を常に感じていました。
外を歩いていると20、30メートルおきに
「ハロー」とか、
「ニーハオ」とか、
「チンチャンチョン」(中国語の発音を揶揄している)とか、
現地男性から声をかけられます。
ある日の昼過ぎ、自宅付近の道を歩いていました。
すると高校生~20代前半くらいの男性2人が近づいてきて、
「ねぇどこの国からきたの?」
「家族は一緒に住んでるの?」
「結婚してるの?」
と話しかけてきました。
私が住んでいた地域では、この会話は男女問わず日常茶飯事です。
アジア人が珍しいため、話しかけて近づきたくなるようです。
海外生活に慣れていなかった私は愛想よくニコニコしながら答えて、自宅までの道を歩き始めました。
すると男性2人がずっと後ろをついてくるのです。
男性たちは私ともっと話したかったのでしょう、ずっと声を掛けてきました。
ついてこられるのは怖いし、何かされても私は腕力で勝てないので無視して早歩きをしました。
【対策】自宅周辺に知り合いや逃げ場所を作っておく
300メートルほど歩いても男性2人はついてきたのでわざと自宅を通りすぎ、
さらに100メートル先の私がいつも利用していた小さな個人商店に入りました。
自宅の場所を知られるのが怖かったためです。
商店には30代と40代くらいの男性スタッフ2人が働いていて、いつも私に親切に接してくれていました。
私が個人商店に入った後も、男性2人は外で待っていたため、
「男の人がついてくる、助けて。」
と、まだ慣れないアラビア語と英語を交えながらスタッフへ伝えました。
すると、スタッフの一人がすぐに店の外に出ていき、私についてきた男性2人に怒鳴ったのです。
男性2人はおびえた表情をしてすぐに去っていきました。
もし自宅が特定されていたら…。
もしスタッフに「あなたのこと知らない」と助けてもらえなかったら…。
もしかしたら性被害に遭っていたかもしれないと思う出来事でした。
- よく通る道や自宅周辺の商店などへ、自分の存在をアピールしておく。
- 初対面なのに馴れ馴れしい相手には超冷静な態度で接する。
【実例2】露出狂!ズボンをおろして近づいてきた男性
ヨルダンに派遣されて1年以上が経過し、生活に慣れてきたときの話です。
夏の昼下がり、私は一人で歩道橋を歩いていました。
歩道橋の上を半分以上過ぎた頃、ドドドドッと走る足音が私の後ろから聞こえてきました。
しかも私の背後めがけて走ってくるような雰囲気を察知したので、とっさに振り返りました。
すると男性がズボンをおろし、局部を握ってブンブン振りながら近づいてきていたのです。
私との間隔は30㎝くらいでした。
私はびっくりして「うわっ!」と大声を上げ、そのまま進行方向へ走って歩道橋を降りました。
歩道の広いところまで走り、歩道橋の方を振り返ります。
すると男性は私とは反対側へ歩道橋を降りて、そばに停められていた車に乗り、猛スピードで去っていきました。
20~30代くらいの男性でした。
【対策】JICAや日本大使館からの危険情報を把握する
実はヨルダンの歩道橋はJICA事務所から「犯罪が起こりやすい」と注意喚起されている場所でした。
ヨルダンの歩道橋の柵は広告で覆われているので、歩いている人が外から見えないのです。
そのため犯罪が起こりやすくなります。
露出男性は歩道橋の特徴を利用し、私が通るのをどこかで観察していたのでしょう。
もし気づくのが遅れていたら、私は確実に背後にくっつかれたり、押し倒されたりしていたと思います。
女性は男性の腕力に勝てません。
なので命の危険もあったかもしれません。
青年海外協力隊員は派遣国に到着後、各国の事務所で安全対策に関してのオリエンテーションがあります。
オリエンテーションでは派遣国での生活において、
- 危険な通り道
- 犯罪が起きやすい場所 など
の詳しい情報を得ることができます。
海外生活が慣れてくると、気も緩みます。
残念ながら、立場の弱い外国人女性を狙っている人は常にいます。
いくら気をつけていても相手側もバレないように上手く隠れるので、防ぎようがないかもしれません。
しかし海外生活をする上で、JICAや日本大使館からの危険情報は命を守るために絶対に把握おくべきです。
- 自分を狙う人がいるかもしれないことを常に考えておく。
- 危険情報を集めて、すべて把握しておく。
- 周りに様子がおかしい人はいないか注意する。
派遣国の文化を知って自分でできる安全対策
青年海外協力隊の派遣地域は全世界にあるので、安全対策は国によって異なります。
ヨルダンではJICAボランティアに対して以下の決まりがありました。
- 日が暮れたら単独の外出は禁止。
- 毎日決まった時刻にJICAスタッフへ安否連絡。
- ヨルダン人が興奮しやすい選挙日や大学の合格発表日は自宅待機。
他にも
- テロが起きやすい外資系の高級ホテルには近づかない
- 国境付近や発砲事件が起きた地域へは移動禁止
などがありました。
アジア圏に派遣された隊員にこの話をすると「うちの国はそんな規制は無かった!」と驚かれました。
安全レベルは国によってかなり差があります。
JICAが決めた安全対策を行うことは当然ですが、被害に遭うときは遭います。
ではリスクを少しでも減らせるよう、自分でできる安全対策はどのようなものがあるでしょうか?
私が最も意識していて対策したのは以下の2つです。
- 服装は現地の女性に合わせる
- 知らない男性の声掛けに応じる時は無表情で対応する
【対策1】服装は現地の女性に合わせる
服装はできるだけ現地の女性に合わせた方が安全です。
なぜなら人種が違うため目立ちやすく、服装によっては性に開放的だと捉えられ、狙われるリスクがあるためです。
まずインターネットなどで、渡航先の現地女性がどのような服装をしているかよく観察してください。
半袖やショートパンツなど肌の露出が多い服装をしている国なら、日本の普段着でも目立つことは少ないでしょう。
もし女性が長袖・長ズボンのような肌の露出が少ない国だったら注意が必要です。
ヨルダン女性は肌の露出を避ける服装をしていました。
これはヨルダン人の9割がイスラム教徒だからです。
イスラム教のコーランには女性に対して、
- 美しい部分を隠せ
- 長い衣装で身体を覆うようにせよ
と書かれています。
厳格なイスラム教徒が多いヨルダン女性はこの教えを守り、外出時は髪や首、手首、足首を隠す服装をしています。
真夏でも肌の露出を避ける服装をしています。
もし日本のように半袖・半ズボンでヨルダンの町を歩いていたらジロジロ見られたり、珍しさのあまり触ってくる人もいるでしょう。
ヨルダン生活では1年中帽子・首巻・長袖・長ズボンを着て外出していました。
帽子を取って涼んでいると、すれ違う人が急に私の髪に触れ、何も言わず去っていく事もありました。
服装で自分を表現するのは自由ですが、どんな時も「自分の身は自分で守る」が基本です。
イスラム教についてもっと知りたい方はこちらの本がおすすめです。
【対策2】知らない男性の声掛けに応じる時は、無表情で対応する
現地で知らない男性に声をかけられた時、笑顔で応じるのは危険な時があります。
なぜなら女性が男性に対して、
- 気を許している
- 好意を持っている など
一部の現地男性は勘違いすることがあるためです。
例えば、日本の接客業ではスマイルが基本です。
店員が笑って接客していると客側も気持ちよく買い物ができますよね。
しかし外国の店員は無表情の人が多いです。
なぜなら客からお金さえ受け取ればいいのだから、笑顔は本来必要ありません。
日本人は相手の気持ちを尊重する人が多いです。
外国では自分のタスク最優先の人が多いように感じます。
そんな他人に対して無表情の文化の中で、
声をかけた人にニコッとされたら嬉しくなって近寄りたくなる気持ちもわかります。
しかしどんどんエスカレートして、身体に触れてきたり自宅に招きたいと言い出したり…。
結果、セクハラ被害につながります。
特に外国では!知らない男性には無表情で冷静な態度を心掛けましょう。
男女問わず、初代面なのに日本語で褒めてきたり、しつこく話かけてくる人にも注意!
詐欺の可能性あり。(海外の観光地あるある)
まとめ:危険情報を把握して、自分の身は自分で守る!
- 日本人女性はセクハラの標的になりやすい。
- 行動範囲内に助けてもらえる人と場所をつくる。
- 立場の弱い外国人女性を狙っている人は常にいる。
- 危険情報は必ず把握しておく。
- 文化を理解し、現地の女性にできるだけ合わせる。
- あえて無愛想なくらいがちょうどいい。
自分を守るのは自分自身!
情報収集は徹底的に!